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染五郎が語る『京乱噂鉤爪-人間豹の最期 -』

8月10日、国立劇場小劇場で、あぜくら会会員限定企画「沙翁文楽×乱歩歌舞伎 新作の競演」が行われました。文楽三味線の人間国宝・鶴澤清治と歌舞伎俳優・市川染五郎の2人による楽しみな対談に客席は満員。2人が同じ舞台に立つのは全くの初めての事で、染五郎からは「こうしてお会いできて嬉しく、とても緊張しています」と一礼、和やかな雰囲気の中で対談が始まりました。

9月に上演される文楽の 『天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)』はシェイクスピアの「テンペスト」を原作とした作品で、鶴澤清治が作曲を手がけています。10月に染五郎が出演する歌舞伎の 『京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)-人間豹の最期 -』は乱歩の世界を江戸時代に移し新たに創り出された作品です。

再び人間豹・恩田乱学に挑む染五郎が語った10月公演への思いを紹介します。

昨年の乱歩歌舞伎第一弾『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』で原作『人間豹』の世界を最後まで上演したので、第二弾となる今回の作品は、乱歩の原作に無い全くの新しい世界を描くことになります。

乱歩の『人間豹』を歌舞伎にしたいと思いついたのが10年程前。恩田や明智をはじめ、どの登場人物もキャラクターがはっきりとしていて、歌舞伎の特性をたくさん使うことのできる作品だと感じました。ただ、無差別に殺しを重ねるという作品を国立劇場で上演していいのかな?と思ったことはありましたね(笑)

アイデアを作品として形にするのは、とても大変な事です。衣裳を着替えるための時間、道具の転換、そういった舞台進行のために新たな場面を作る必要があったり、ひとつずつ問題を乗り越えていきます。ト書では「ここで消える」というたった一行を考えるため、皆で色々なアイデアを出し合う、その努力の積み重ねがひとつのお芝居となるのです。さらにスタッフの皆さんや父の考えが加わることで物語が発展し作品が一人歩きする。その変化はとても面白いものです。

原作では、恩田が気球に乗ってどこに行くかわからず消えるという結末ですが、恩田を演じている人間としては、彼の最期を見届けたい、彼の死を演じる責任があると思っています(笑)。昨年念願が叶い上演できた『人間豹』、恩田の“その後”をぜひ観にきていただきたいと思っています。

下は『京乱噂鉤爪-人間豹の最期 -』の扮装写真、対談の背景にも飾られました。松本幸四郎の明智小五郎に迫る人間豹恩田!妖しげな舞台の雰囲気が伝わってきます。公演情報は こちらをご覧下さい。