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国立劇場6月歌舞伎鑑賞教室『紅葉狩』出演者らが意気込みを語りました


 6月2日~24日、国立劇場で上演される歌舞伎鑑賞教室『 紅葉狩(もみじがり)』。更科姫実は戸隠山の鬼女役の中村扇雀、余吾将軍平維茂役の中村錦之助、「解説 歌舞伎のみかた」にも出演する中村隼人中村虎之介が記者懇親会で意気込みを語りました。

【中村扇雀】
過去82回の歌舞伎鑑賞教室の記録を見て、どうせなら一度も上演されていないものをという思いが湧き『紅葉狩』を上演し、更科姫を初役で勤めさせていただく事になりました。平維茂は錦之助さんにピッタリのお役ですし、私は毛を思いきり振るし、隈取りも立派。お姫様も出でくるし、セリフもあれば踊りもある。本当にてんこ盛りの演目ですので、きっとお客様も"歌舞伎を観た感"でお腹いっぱいになることでしょう。

『紅葉狩』は九代目市川團十郎がお創りになった狂言ですが、二本の扇を自在に使って舞う「二枚扇」のような華麗な舞や、激しい立廻り、さらに初演では火を噴いたりもしたそうです。それはきっと九代目という名人が、もっと面白いものを、今まで誰もやったことのないものをご覧に入れて、お客様をあっと言わせようという思いがあったからだと思います。

ぜひこのお芝居をご覧になって"歌舞伎はエンターテイメントだ!"と感じていただきたいと思います。そして、ご観劇料も一等席で3800円と、お得感は半端じゃありません(笑)。学生の方には全席1300円でご覧頂くことができます。ご家族の方、周りの方に「歌舞伎、面白かったよ!」と伝えていただけるように、そして何度も足を運んでいただけるような舞台にしたいと思っています。


更科姫実は戸隠山の鬼女:中村扇雀

【中村錦之助】
鑑賞教室をご覧になっても、何を観たのか、誰が出演していたのか覚えていないとおっしゃる方も多く見受けます。今回上演させていただく『紅葉狩』は舞踊劇の代表作の一つといえる作品で、見どころも多く、常磐津・義太夫(竹本)・長唄の三方掛合による演奏など、歌舞伎ならではの華やかさと面白さを味わうことができる狂言です。今回の舞台を10年後、20年後になっても、「あの時の『紅葉狩』は楽しかった!」と思い出していただけるような舞台にしたいと思っています。

平維茂は自分の役どころですし、初代錦之助(萬屋錦之介)も勤めた縁のあるお役です。とても楽しみにしていますし、品格を持って勤めたいと思っています。また息子の隼人や、虎之介君には自分たちが「教室」になるように、同じ舞台に出て、彼らが盗めるようなお手本を示すことがでればと思っています。観に来てくれた学生の皆さんにはずっと歌舞伎を観に来てくれるように、そして私達も成長し、共に歌舞伎の裾野を拡げていく、鑑賞教室にはそうした主旨があると思っています。


戸隠山の鬼女:中村扇雀(右) 余吾将軍平維茂:中村錦之助

【中村隼人】
「歌舞伎のみかた」は今回で3回目になります。一番最初は虎之介さんの従兄弟に当たる壱太郎さんと2人で解説をさせていただきました。年上の壱太郎さんにいろいろ教えていただきながら、2人で話し合い、自分たちの言葉で伝え、試行錯誤を重ねながら勤めました。今回は私が兄貴的な立場になれるようにリードして、今までの解説ではやったことの無いようなものも取り入れていきたいと思っています。

今回の「歌舞伎のみかた」のテーマは人気ドラマの「ガリレオ」です(笑)。幕開きの最初が肝心ですので、歌舞伎なのになぜ?と音楽でインパクトを与えたいと思っています。竹本さんや常磐津さんとも相談して、できれば、あの口癖を語っていただこうかなと思っています(笑)。本役では野菊を勤めます。以前『紅葉狩』で左源太を勤めましたが、今回は女方です。「歌舞伎のみかた」の後、休憩時間が20分しかなく、早ごしらえになりますが、しっかり勤めたいと思います。


【中村虎之介】
15歳で「歌舞伎のみかた」に出演するのは、最年少記録の更新になるそうで、とても嬉しいです。高校の先輩でもある憧れの隼人さんを頼って、どんなことにも挑戦して、良い「歌舞伎のみかた」にできればと思っています。

鑑賞教室は、以前学校で観に来た事がありますが、その時居眠りをしている同学年の人達がいて、歌舞伎をやっている僕としては、とても悔しい思いをしました。劇中で平維茂は眠ってしまいますが(笑)、もし寝ている学生の方がいたら、起こすような山神をやりたいと思います。そして皆さんにすこしでも歌舞伎に興味をもっていただければ嬉しいです。