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猿之助、右近、笑也が意気込みを披露~スーパー歌舞伎II『空ヲ刻ム者―若き仏師の物語―』


  3月新橋演舞場 4月大阪松竹座で上演されるスーパー歌舞伎II『空ヲ刻ム者―若き仏師の物語―』。
 三代目市川猿之助(現猿翁)によって創造されたスーパー歌舞伎のスピリットを継承した四代目市川猿之助が、現代の演劇界を代表する全く新しい舞台空間を創造する話題の舞台です。
 出演者にはスーパー歌舞伎を彩った市川門之助市川右近市川笑也市川猿弥市川笑三郎市川春猿市川寿猿市川弘太郎ら歌舞伎俳優とともに、様々な舞台・ドラマ・映画で活躍する現代劇俳優の佐々木蔵之介、福士誠治、浅野和之が集結。
 公演に先立ち、市川猿之助、佐々木蔵之介、市川右近、市川笑也に加え作・演出の前川知大が製作発表記者会見で意気込みを披露しました。

【前川知大(作・演出)】
 猿之助さんとのご縁は、佐々木蔵之介さん主演で、私が作・演出を手掛けた『狭き門より入れ』という作品でご一緒したことに始まります。猿之助さんは、先代の猿之助(現猿翁)さんが創り上げたスーパー歌舞伎の継承に加え、新しいものを創ろうという気持ちを強くお持ちです。そのためには私の中の現代劇の文脈を、スーパー歌舞伎、その下にある猿之助さんの歌舞伎というものにうまくミックスさせ、さらに、現代劇の俳優の方々にも入っていただき、澤瀉屋一門の方々に協力を仰ぎながら創っていく、そうすることできっと新しいものが生まれると思います。
 仏師をテーマにしていますが、仏師には職人としての面と、彫刻家・アーティストという面があり、その間での苦悩もあります。そこに仏教思想も絡めることで、されに深みのある作品になると思います。書くにあたって猿之助さんから、スーパー歌舞伎というものは、現代的な感覚でかかれた本を歌舞伎の手法で演出をするもの、そして、そのスーパー歌舞伎の演出のノウハウは、すでに積み上がってきたものが沢山あるので、まずは自分の世界観で台本を書いてほしいとお話をいただきました。そのおかげで、面白い物語にするということにだけ集中して書くことができたと思います。




【市川猿之助】
 いよいよスーパー歌舞伎II(セカンド)が始動します。長年の夢として、スーパー歌舞伎を超える物をいつかは創りたいと思っていました。そして今回、前川さんと出会い、蔵之介さんと出会い、そして猿之助も襲名させていただき、自分の力ではない、なにか見えない力が加わって、いよいよ動き出したという感じがいたしております。歌舞伎には古典、新作、書き物、様々なジャンルがありますが、この先、スーパー歌舞伎というジャンルを充分定着させたい、さらに進めたいという思いからII(セカンド)という名を付けさせていただきました。
 脚本の前川さんは、非常に面白いストーリー性の作品を書く方で、こういうファンタジックな世界観は歌舞伎にないものだし、逆に歌舞伎になりにくいもで、ぜひこれを歌舞伎にしたら面白いだろう、それにはスーパー歌舞伎の手法が相応しいのではないかと考えました。初めて「仏師をテーマに」と伺ったときは「さすが前川さん、こんなに地味な、芝居になりにくい主人公を選んできて…」大丈夫かなと思いましたが、脚本を読んでみると「さすが、これこそ前川色!」と思える素晴らしものでした。今回作品に必ず加えてほしいとお願いしたのは、「大立ち廻り」と「最後の宙乗り」。さらに、私は笑いを作品に入れるのが好きなので、おちゃらけたものではなく、ちゃんとした笑いを脚本にいれていただくようにもお願いをしました。
 現代劇から蔵之介さん、浅野さん、福士さんをお迎えします。以前ご一緒した舞台で蔵之介さんが語る姿をみて、直感的に「あ、この方は歌舞伎ができる」と感じたことをよく覚えています。皆さんり不安も多いでしょうし、色んな意味で大きな決断が必要だったと思いますが、快く承諾していただき参加してくださいます。きっと私たち歌舞伎俳優には出せないものが必然的に出てくると思うので、そうした互いに足りないものを補いあって、それがお客様にとっても私たちにとっても刺激的な出会いになればいいなと考えています。
 伯父・猿翁の意志を継ぐと言っても、それはむずかしいことです。しかしながら今回、右近さん、笑也さんを始めとする、正に猿翁の精神を継いだ澤瀉屋一門の方々に参加していただきます。一門の方々のサポートによって、初めてこの世界が成り立ちます。さらにスタッフの方々にも私が子供のころからお付き合いしている方が多く、そういう方々と一緒にこの公演を創ることに今はワクワクしています。あとは初日を無事迎えられるどうか、このお芝居を失敗したら私は役者を辞める覚悟、そういう気概を持って臨みたいと思っています。




【佐々木蔵之介】
 猿之助さんとのご縁で、この度、スーパー歌舞伎II(セカンド)に出演させていただくことになりました。2005年、大河ドラマで当時の亀治郎さんとご一緒させていただき、その後私の現代劇に出ていただいたのですが、その時に、「兄さん、私が現代劇に出たので、次は歌舞伎に出て下さいね」とおっしゃられて「はいはい」と適当な返事をしていたら…本当にこんなことになってしまいました。私自身、俳優という職業を選んで、まさか歌舞伎の舞台に出演させていただくとは思いもしませんでしたが、今は「これは楽しむしかない!」と思っております。




【市川右近】
 若き四代目猿之助さんの思いが、このように実現して、そこに三代目猿之助に師事しております私共が、このような形で応援させていただくことに、非常にワクワクしております。1986年の『ヤマトタケル』以来、全てのスーパー歌舞伎を創っていく過程を間近で拝見し、自分たちもその中で沢山の勉強をさせていただきました。それが、今回セカンドステージという、また未開の地へ乗り込むときに参加できることを、大変嬉しく思っております。懸命にこの作品を成功に導くべく、皆様と力をあわせ、勤めるつもりでございます。




【市川笑也】
 思い起こせば、市川門之助さんとともに、スーパー歌舞伎皆勤賞は2人だけでございます。これがセカンドに突入して、この記録をいつまで延ばすことができるか、記録を目指しております(笑)。今回は盗賊の女首領ということで、かなりワイルドなお役の女になると思います。『ヤマトタケル』の初演のころは、毎晩遅くまで稽古をしたことをよく覚えています。当時師匠(猿翁)に怒られた分だけ、スーパー歌舞伎に必要なものを吸収しているので、少しでもお役に立てればと思っております。