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芝翫・孝太郎が「国立劇場10月歌舞伎公演」取材会で意気込みを披露

 国立劇場10月歌舞伎公演では、義太夫狂言の名作『平家女護島』が23年ぶりに通しで上演されます。
 歌舞伎公演で初めて文化庁芸術祭オープニングを飾る国立劇場10月歌舞伎公演。平清盛の横暴や俊寛の妻東屋の自害を描いた「六波羅清盛館」、名場面「鬼界ヶ島」、皇位を狙う清盛が亡霊に苦しめられる「敷名の浦」を通して描かれる壮大なドラマ!
 8月23日、都内にて取材会が行われ、俊寛と清盛の二役を勤め、襲名後国立劇場に初出演となる中村芝翫、俊寛の妻東屋を初役で勤める片岡孝太郎が公演に向けての意気込みを語りました。

【中村芝翫】
 襲名してはじめての国立劇場です。私は国立劇場で初舞台を踏んだ俳優ですので、芝翫を襲名し出演できることを楽しみにしていました。
 『俊寛』は何度も勤めておりますが、いつもは清盛や東屋を思い浮かべるだけで、立体的なものではありませんでした。今回私が清盛を勤め、孝太郎さんが東屋を勤められることでより一層物語が明確になると考えております。

 俊寛は、子どもの頃十七代目中村勘三郎のおじ様の俊寛を見て育ったものですから、お芝居ゴッコで定番のようにやっておりました。僕自身、俊寛というお役は大好きです。清盛にクーデターを起こすのですから、スケールの大きな人物です。清盛のために世の中が苦しみ、悲しみ、俊寛がああいう姿になっていったというドラマの中で、自分が両面(二役)を演じるという精神の切り替えは、なかなか大変ではないかなと思います。そして、「今後は、「清盛館」や「敷名の浦」も付けた方が面白いよ」と言われるような作品を創っていきたいと思っています。

 今回、英語・中国語・韓国語でポータブル字幕サービスが利用できるそうです。良いことですね。これからオリンピックもありますし、歌舞伎は日本が誇る文化だと思っておりますので外国の方にも愛されて欲しいです。それを紹介する日本の方でも、まだ歌舞伎を観たことのない方もいらっしゃると思います。国立劇場はチケットがリーズナブルですし、初心者の方にも是非観ていただきたいと思います。



【片岡孝太郎】
 今回、『俊寛』の通しでということでお話をいただいた時に、てっきり千鳥をやらせていただけると思っておりましたら東屋でした。自分も、そこそこの年齢になったのかなと、ちょっと悲しくもあり、また嬉しくもあります。
 東屋は、とても気高く、そして美しく、清盛が一目ぼれする女性ですから、自分なりにどう創っていけるかが課題です。激しさというもの・・・当時の女性としては、はっきりとした表現をする女性なのでその辺をきっちりと出していきたいと思います。

 先代の七代目中村芝翫のおじ様にお稽古をつけていただいている時に「君、これから女方に専念しないか、君の家には特別に女方の型がないだろう、自分で松嶋屋の型を創っていきなさい」というお言葉をいただきました。それ以来、私は女方に専念してまいりました。今回、芝翫のお兄様に声をかけていただき、こういう形で新しい東屋、また『俊寛』のお芝居を一緒に創っていけることをとても嬉しく思っています。

 普段、あまり上演されない場面や、役をやらせていただけることはとても嬉しいです。過去にも先輩方がおやりになっていますので、その中で、自分らしさを大切にして、お客様にわかりやすく創っていくことが一番大事なことなのかなと思います。