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菊五郎、時蔵、松緑、菊之助が意気込みを披露~国立劇場初春歌舞伎公演『通し狂言 姫路城音菊礎石』


 平成31年国立劇場の初芝居は、通し狂言『 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)』を上演します。原作は並木五瓶の『袖簿播州廻』。平成3年には国立劇場で初演以来212年振りに復活上演した作品です。今回は原作の特色を活かしながら新たに台本を補綴。姫路城の城主・桃井家のお家騒動を中心とした、お正月らしい楽しいお芝居に、期待が高まります。
 公演に先立ち取材会が行われ、尾上菊五郎中村時蔵尾上松緑尾上菊之助が公演への意気込みを語りました。

【尾上菊五郎】
 平成最後のお正月を吉例の通り、いつものメンバーで開けられることを嬉しく思っております。私の演じる印南内膳という役は“いい顔をした悪人”ですが、どのように創っていくかはこれから。いつものように初春歌舞伎らしく、明るく楽しくテンポアップした、わかりやすい歌舞伎を創っていきたいと思います。
 ここ何年もお正月はいろいろな趣向をさせていただきまして、お客様もそれを待っていらっしゃいますが、これがなかなか辛いところ。いまも控え室で皆と話して“この際パンダでもだしちゃおうか!”と(笑)。こういう冗談からできあがっていくところも多く、和気藹々と、そしてお客様をあっと驚かせて喜んでいいただけるようなお芝居を創っていきたいなと思っています。


【中村時蔵】
 姫路城に“魔物が出る”と噂を流し、それを退治に来る強者を集めて桃井家のお家再興をはかる女、碪の前を勤めさせていただきます。いつも通り、“なにか面白いことが無いかな”と考えながら、楽しくいつものメンバーで、稽古から芝居を創っていきたいと思っております。
 私は、昭和最後の国立劇場初春芝居にも出ておりまして、それから30年さまざまな役を勤めさせていただき、こうして平成最後の初春芝居に出られるのは感無量です。新しい元号がどうなるかわかりませんが、再来年の1月も国立劇場に出演できることを願っております。


【尾上松緑】
 平成最後の初芝居で、古佐壁主水と百姓平作実ハ与九郎狐の二役を勤めさせていただきます。以前、与九郎狐を亡くなった五代目中村富十郎のおじさんがなさっているのでそれをベースに、また、菊五郎のお兄さんに『義経千本桜』の四の切の忠信を稽古していただいたこともございますので、そういうノウハウをいかして、いかに狐と人間との違いという物を出せるかを眼目に役を創っていきたいと思っています。
 白い天守閣の姫路城はとても綺麗だと思いますが、反面、泉鏡花の作品でも妖怪やお化けが描かれているように、そいういうものにまつわるエピソードも多いお城ですから、1月のお芝居ではそんなところも絡めて物語を練っていけるのではと考えております。


【尾上菊之助】
 主水女房お辰と小女郎狐の二役をさせていただきます。松緑さんとは夫婦のお役です。『義経千本桜』でも生類の情愛の深さは描かれていますが、今回のお芝居でも狐が忠義を果たして参ります。もちろん狐の動きというものも大切ですが、やはり夫婦の情愛といったものを、生類のなかでどのように出していけるのかが、今回の課題になると思います。
 松緑さんに「ぼーっと生きてんじゃねーよ」と言われないように、がんばりたいと思います(笑)。