中村壱太郎に松尾芸能賞新人賞、市川寿猿に同松尾國三賞、中村寿治郎に同松尾波儔江賞
第40回松尾芸能賞の受賞者9名と1団体が発表され、日本俳優協会会員の歌舞伎俳優・中村壱太郎に新人賞(演劇部門)、日本俳優協会会員・伝統歌舞伎保存会会員の歌舞伎俳優・市川寿猿に松尾國三賞、日本俳優協会会員・伝統歌舞伎保存会会員の歌舞伎俳優・中村寿治郎に松尾波儔江賞が贈られることが決定しました。
松尾芸能賞は故・松尾國三氏が昭和54(1979)年に設立した財団法人松尾芸能振興財団(現・公益財団法人)が創設したもので、日本の伝統ある劇場芸能を助成し、文化・芸能の保存、向上に寄与した人に贈られる賞です。昭和55年の第1回から毎年顕彰を続け、今回で第40回目となりました。
壱太郎は上方歌舞伎の若手女方として近年の成長が著しく、『心中天網島』の小春などの上方歌舞伎から『於染久松色読販 お染の七役』の江戸歌舞伎まで幅広い役柄を手掛け、2018年には新派の名作『滝の白糸』を『お染の七役』同様に坂東玉三郎の指導で演じ新しい役どころも積極的に挑戦していることなど、寿猿は四世代に亘る澤瀉屋一門の名脇役として代々の猿之助が拓いてきた多彩な歌舞伎を支え、老若男女の様々な役を演じて舞台を盛り上げ、最古参として若手の多い一門の俳優の指導役を果たすとともに現役としても若々しい演技を見せ、歌舞伎界へ大きな功績を残していることなど、寿治郎は役の生活感を出す演技が求められる上方狂言で『曽根崎心中』『廓文章』など当たり役も数多く、古典の役から新作の役に至るまでそれぞれの役に相応しい演技を工夫して主役を支え、上方歌舞伎独自の可笑しみ、渋み、味わいを出して舞台を盛り上げてきたことなどが贈賞理由となりました。
他に歌舞伎の関係者では、長唄唄方の杵屋東成と長唄三味線方の杵屋勝禄に優秀賞(邦楽部門)、舞踊家の藤間勘十郎に優秀賞(舞踊部門)が贈られます。
贈呈式は3月28日(木)に東京・内幸町の帝国ホテルで行われる予定です。
※賞の詳細や他の受賞者については こちらのページをご参照ください。