近代演劇の脈拍―その受容と心性

神山彰/著 森話社
縦21cm×横14.8cm 本文392p
2021年10月1日発行 定価¥5,390(税込)

舞台をめぐる感性と欲望
舞台の豊かさは、過去からの多層的な記憶とともにあり、その周辺の気配や時代の色彩、陰翳によって鮮やかに彩られている。明治期から平成期までの約150年の生動感に溢れた「近代演劇」の芸談や批評、思い出から浮かび上がる各時代の欲望と多面的様相をさぐる。

■目次
【I 森鷗外と三木竹二に見る「演劇」】
第一章 演劇から見る森鷗外───「和魂洋才」の一面
第二章 三木竹二の系族───森家の人々の遊戯感覚
第三章 森鷗外のなかの依田学海と末松謙澄───まだ見ぬ「演劇」を巡って

【II 歌舞伎の世紀末】
第四章 坪内逍遙の世紀末───『牧の方』と「みだれ髪」の時代
第五章 『め組の喧嘩』と『お祭佐七』の間───黙阿弥以後の「江戸歌舞伎」
第六章 鏡花劇の台詞の魅力───『天守物語』を巡って
第七章 二代目市川左団次の「セルフ・ヘルプ」───西洋演劇との相互受容
第八章 「芝居見たまま」の魅力───舞台の記憶装置

【III 大正・昭和戦前期の面影】
第九章 雑誌『新演芸』に見る大正演劇
第十章 「声色」の時代───観客の記憶と伝承
第十一章 「歌舞伎十八番」の近代───十代目団十郎と山崎紫紅
第十二章 天勝の「流し目」と新劇の「見下し目線」
第十三章 『沓掛時次郎』と股旅物───姓・故郷・家族
第十四章 戦中演劇への一視点
第十五章 「舞台美術」の成立と変容───近代化に即して
第十六章 散切物の「ミナト・ヨコハマ」───開化と望郷と

【IV 戦後演劇の肉声】
第十七章 折口信夫の歌舞伎───肌自慢・悪声・表現力
第十八章 近代演劇の「実験」の系譜
第十九章 「三島歌舞伎」の記憶と「戦後」───「舞踊」という盲点
第二十章 新派の光芒───ノスタルジアの行方
第二十一章 観客論としての「ファン雑誌」───戦後東京圏の肉声
第二十二章 歌舞伎の戦後七十年
第二十三章 国立劇場とその時代
第二十四章 戦中・戦後派への追悼