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菊五郎・菊之助が国立劇場で両宙乗りを披露!~10月国立劇場『通し狂言 開幕驚奇復讐譚』

 今年開場45周年を迎えた国立劇場。その記念の企画となる“作者”に焦点を当てたシリーズ「歌舞伎を彩る作者たち」の第1弾として、10月公演では『南総里見八犬伝』『椿説弓張月』の作者・曲亭馬琴(きょくていばきん)の傑作を劇化した新作《馬琴歌舞伎》『開幕驚奇復讐譚(かいまくきょうきあだうちものがたり)』が上演されます。
 国立劇場初となる客席上の左右を同時に飛ぶ《両宙乗り》や、《温泉場の夜襲》、《金閣屋根上の立廻り》など、菊五郎劇団を中心とした歌舞伎俳優たちが、まさに“開けてビックリ”な舞台を繰り広げます。
 初日(3日)を前に、尾上菊五郎中村時蔵尾上松緑尾上菊之助が意気込みを語りました。

尾上菊五郎
 作者の滝沢馬琴が今の時代に生きていたらきっとこうした趣向になるのでは、そう考えながらこのお芝居を創りました。発端・序幕の展開から、二幕目では衣裳も今私が着ているようなものにして舞台の様子もガラッと変えることでお客様にショックを感じていただき、次の三幕目からは古典的な歌舞伎になります。こうしてお客様の心の線を少し動かすことはお芝居にはとても効果的です。
 ちょうど仙女九六媛(せんじょくろひめ)をどのようにしようかと思っているころに震災があり、レディー・ガガさんが日本に寄付をして下さったことを知り、まるで現代の仙女のような方だと思いました。狼に乗っての《両宙乗り》は、右手でお扇子を持ちながらですから、実は少し怖いのですが、お客様には、このお芝居を見て楽しかったね、やはり歌舞伎は面白いねと思っていただきたけるように一所懸命に勤めたいと思っています。

中村時蔵
 「歌舞伎」は奇妙な事をする、驚かすような事をする、という「傾(かぶ)く」がもとにあって、このお芝居にはとてもピッタリとくるような気がしますが、残念ながら私だけ普通の衣裳です(笑)。このような復活劇は、私達が修業をしてきた古典歌舞伎の抽斗(ひきだし)から様々なものを出しあい創っていきます。ですからこのように初めて上演するお芝居でも、お客様に歌舞伎を観ているという安心感を持っていただける、それが復活劇の面白いところでもあります。

尾上松緑
 菊五郎兄さんのアイディアにはいつも驚かされますが、その場だけが目立つことなく、古典的な他の場面とのバランスが上手くとれるように考えながら役を創っていきたいと思っています。子どもの頃からお世話になっている国立劇場の45周年の開幕に参加させていただくことは大変有難いことですし、その幕開けに相応しい舞台を創りたいと思っています。

尾上菊之助
 歌舞伎は古典演劇ですが、同時に現代に生きる演劇でなければいけないと思っています。その中で、現代のニュースや出来事を歌舞伎の中に入れ込んでお客様に観ていただくというのはこの国立劇場ならではの事。新しい趣向がたくさん詰まっていますし、古典の抽斗もたくさん詰まっている舞台を、ぜひお客様に楽しんでいただきたいと思っています。


  国立劇場で上演される作者に焦点を当てたシリーズ「歌舞伎を彩る作者たち」。11月は近松門左衛門(『日本振袖始(にほんふりそではじめ)』、『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』)、12月は真山青果(『元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)』)、平成24年1月は河竹黙阿弥(『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』、『奴凧廓春風(やっこだこさとのはるかぜ)』)、3月は並木宗輔(『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』)、4月は鶴屋南北(『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』)。ますます楽しみな国立劇場の歌舞伎公演から目が離せません。ぜひお楽しみに。


左から《温泉場の夜襲》《両宙乗り》《金閣屋根上の立廻り》他にも見どころが盛りだくさん!