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平成中村座スペイン公演 記者発表が行われました


 今年、日本とスペインが外交関係を結んで150周年を迎えます。それを記念して、6月27日~7月1日に、日本スペイン外交関係樹立150周年「平成中村座スペイン公演」が開催されます。「平成中村座」は十八代目中村勘三郎(当時五代目勘九郎)の「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させたい」という想いを実現させた劇場です。2000年に東京・浅草から始まり、日本国内はもちろん、ニューヨークやベルリンなど海外の観客までも魅了してきました。
 2月28日、都内にて記者発表が行われ、父勘三郎の遺志を引き継いで出演する中村勘九郎中村七之助が公演へ向けての意気込みを語りました。

【中村勘九郎】
 今回、情熱の国スペインにおきまして平成中村座公演を催すことができ、また祖父(十七代目中村勘三郎)と父(十八代目中村勘三郎)と私達が情熱を注いできた『連獅子』を踊れることを、楽しみにしております。
 実は、拵えをして親獅子を踊るのは初めてのことなので、なんだか不思議な感じです。ずっと仔獅子を七之助と踊っていると思っていたのに、もう親獅子・・・ということで、気を引き締めていきたいと思います。また、この情熱的な踊りが、スペインの方々のハートにちゃんと届くように勤めたいと思います。

 父は旅行が趣味でしたので、僕たちが成人して初めての家族旅行で、イタリアからスペインという旅行をしました。滞在中スペイン好きの父は、毎日劇場に通って、フラメンコも観に行っておりました。歌舞伎とフラメンコの共通点は、物語になっていますし、大地を踏み鳴らす意味としては、歌舞伎では所作板を鳴らす音が通じると思います。手の拍子というのも、歌舞伎では手踊りをとても多く使います。あとは“間”ですね。歌舞伎と通じる部分はたくさんあると思います。

 今回の公演は、今までの平成中村座の公演とは違って舞踊だけ、中でも『連獅子』は中村屋にとって欠かせないものです。スペインの皆様に情熱を届けるには一番良い演目だと思います。ヨーロッパの方々は、演劇やダンスといった生のものというのが日常の生活の中にあるので、凄くちゃんと見てくれるんです。その人達の前でしっかりと踊って、それが伝わった時は本当に幸せですね。

 情熱的な国ということで、僕らが情熱を注いでいる平成中村座をスペインに持っていけるということは、これからの自信にも繋がります。『連獅子』では片岡亀蔵さんにも入っていただき、中村鶴松さんの仔獅子でさせていただきます。父から教わった仔獅子の精神というのも伝えていきたいです。今回はトラディショナルな古典でしっかりと演出も変えず、日本のプライド、歌舞伎のプライドをかけて、日本の伝統の踊りのひとつとして見せたいです。歌舞伎を観たことのない人たちが来ると思うので、度肝を抜かせるぐらいの心意気でやりたいと思います。


【中村七之助】
 平成中村座をスペインの地でやらせていただけること、本当に嬉しく思います。一層身が引き締まる思いでございます。一生懸命踊り、スペインの方々に楽しんでもらえるような公演にしたいと思います。

 『藤娘』は歌舞伎舞踊の代表的な演目です。また、父が長年あまり踊らなかった演目でもあります。生前父は「あんな難しい踊り、踊りたくないよ!」とずっと言っていたほど、本当に難しい踊りの一つだからです。その『藤娘』をやるにあたって、ただ奇麗なだけではなく、娘の気持ちや藤の精の気持ちであったり、恋する内面の美しさがお客様に伝わるようにしっかりと勤めたいと思います。

 芸術の国でもありますので、日本が誇る素晴らしい歌舞伎というものを、そして舞踊の代表的な『藤娘』『連獅子』を一生懸命勤めて、スペインの方々にどう受け入れられるか、楽しみが大きいです。