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時蔵、錦之助、新悟が意気込みを披露~7月歌舞伎鑑賞教室『日本振袖始』
国立劇場 7月歌舞伎鑑賞教室『日本振袖始(にほんふりそではじめ) 』の上演に先立ち取材会が行われ、中村時蔵、中村錦之助、坂東新悟が意気込みを披露しました。
【中村時蔵】
岩長姫実ハ八岐大蛇(やまたのおろち)を初役で勤めます。この役は、私の尊敬する成駒屋のおじ様(六世中村歌右衛門)が国立劇場で復活なさいました。前から大変興味のあったお役で、今回は気心の知れている弟・錦之助と、最近、成長株の新悟さんと三人で楽しい舞台を創っていきたいと思っております。
女方で隈取りができる役は少ないんです。隈取りも色々調べますと、私は藍で描きますが、茶で描いている方もいて、決まっていないんですね。今回は京鹿子娘道成寺の後ジテの隈取りを少し変形して、また祖父(三代目中村時蔵)は変化舞踊もやっていて、幸い写真も残っているのでそれらを参考にしながら描いていきたいと思います。隈取りは綺麗に描くよりも、荒々しく描いて、ぼかした方が見栄えが良いですね。
振付けは藤間(勘祖・勘十郎)宗家です。宗家から振りをうつしていただいて、国立劇場の昭和46年の成駒屋のおじ様のなさったものと、神谷町のおじ様(七世中村芝翫)のなさった映像がございますので、お二人の振りも手本にしたいと思っております。
今の中学生・高校生の生徒さんは、よく観ている人が多いと思います。特に女子校の方々は凄く集中して観ているなと感じます。「歌舞伎鑑賞教室」はこれから先も続けていくべきだと思いますし、続けることで若い世代に歌舞伎に触れていただく。その中で、本当に歌舞伎を好きになってくれる人が出てきてくれたらとても嬉しいですね。
【中村錦之助】
この度は『日本振袖始』で素戔嗚尊(すさのおのみこと)を初役で勤めさせていただきます。これから一生懸命稽古をして兄・時蔵の八岐大蛇に負けずに・・・退治されないように、大蛇を退治できるような素戔嗚尊を勤めたいと思っております。
普通、変化物ですと、前ジテの時から出ておりまして、後ジテになって立廻りで終わりますが、今回は立廻りだけに出てきます。古風な演目ですので、義太夫狂言らしく、義太夫にのって形一つ一つが絵面になるように大事に演じたいと思っています。歌舞伎というのは様式美が大切ですので、それが若い人達や学生にも伝わるように、決まり、決まりの絵面の美しさを強調して勤めたいと思います。
解説は、高校生に年齢の近い若手の俳優にやってもらうと「自分達と同じ若い人がやっている!」と学生達が興味を持ってよく観てくれるように感じます。そうすると学生達の気持ちを掴むことができて、その後の芝居も反応が良くなるのではないでしょうか。「歌舞伎はわからないもの」という概念を取り外して「楽しいんだ!」という思いで観ていただければ、きっと感動してもらうことができると思います。そして、それが先々の歌舞伎のファンの拡大にも繋がると思っております。
【坂東新悟】
『解説 歌舞伎のみかた』の解説と、『日本振袖始』の稲田姫を勤めさせていただきます。
稲田姫は初役ですが、時蔵のおじ様と、これだけしっかりと舞台上でご一緒するのは初めてですので、女方の先輩の芸を勉強させていただくというつもりで勤めさせていただきたいと思います。
神話の時代の話で、派手な立廻りもあり、ファンタジーな世界観もあるので、若い方にも楽しんでいただける演目だと思います。数分の間ですが、舞台上に稲田姫一人しかいない時間があるのですが、その間しっかり舞台の空気をつないで、おじ様の岩長姫の登場を待ちたいと思います。
『歌舞伎のみかた』は2年前にもさせていただき、今回で2回目です。少しでも多くの若い方達に歌舞伎に親しんでもらえるよう、責任感を持って勤めたいと思っています。特別な事をするというよりも、義太夫や歌舞伎の基本的な事を、どうやったら親しんで観ていただけるかという所に重きを置いて工夫を凝らしたいと思っています。