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芝翫 橋之助 福之助 歌之助が意気込みを披露~2019ホノルル歌舞伎


 2019年3月2日(土)~8日(金)に、 「2019ホノルル歌舞伎」公演が行われることが決定しました。ハワイでは52年ぶり3度目の歌舞伎公演となる今公演は、ハワイ日系移民150周年の記念事業の一環として開催。また、八代目中村芝翫親子の襲名記念特別公演として行われます。演目は中村芝翫親子による『連獅子』と、発起人でもある鳥羽屋三右衛門による黒御簾音楽の解説『音で観る歌舞伎』が上演されます。
 10月9日、都内にて製作発表が行われ、出演の中村芝翫中村橋之助中村福之助中村歌之助が公演へ向けての思いを語りました。

まず始めに、発起人である三代目鳥羽屋三右衛門からのビデオレターでの挨拶が放映されました。

【鳥羽屋三右衛門】
 「2019ホノルル歌舞伎」実行委員会の主宰を勤めております、歌舞伎長唄の鳥羽屋三右衛門でございます。3年前、ハワイの日本国総領事館で、2018年は日系移民150年の節目になると伺いました。150年前というと明治元年で、ハワイではその移民の方々を「元年者」と呼んでおります。様々な困難の中ハワイに着いた彼らは、それぞれの入植先で日本人の勤勉さを持ち味にして、次第に日系人社会を構築し、日本文化をも繋げていきました。時が経ち、日系四世・五世の方々に日本の挨拶や礼儀作法が祖父や祖母の世代から伝えられ、彼らの家には三味線・琴・鼓などが飾られていて、まるで昔の日本を見ているようでした。今や日本人が数多く渡航するリゾート地ハワイの快適さは、艱難辛苦の中で日本文化を伝え続けた元年者の功績とご苦労の上に成り立っているものと思い、彼らの追悼と供養のために歌舞伎公演を捧げたいと思い至りました。
 八代目中村芝翫さんにこのお話をさせていただいたところ、快く承諾してくださいました。また、協賛してくださる皆様のお力添えがなければこの発表に至ることはございませんでした。この場をお借りして、お礼を申し上げます。


【中村芝翫】
 私共親子の襲名は2016年の10月から歌舞伎座で始まり、今年の7月で地方巡業も全て終了しました。今回、計らずもこのような形で襲名記念公演をさせていただけるということは、本当にありがたいことでございます。鳥羽屋三右衛門さんからこのお話をいただいたのは、ちょうどこの襲名が始まった時でした。その時にはまるで夢のようなお話でございました。それが彼の努力もあり、皆様方のお力添えとともにこうして実現する今日という日を迎えられたことは、三右衛門さん共々嬉しく思っております。

 最初のハワイ公演は1964年で、私の生まれる一年前です。その時、参加したのは私の大叔父の六代目中村歌右衛門でございます。この後、ニューヨークにも行かれて、歌舞伎は動く大使館であると称賛されました。何かそういった部分でも非常にご縁を感じます。
 初めて海外公演に連れて行ってもらったのは20歳の時で、(五代目中村)富十郎のお兄さんの『連獅子』でした。バンクーバー、ロス、シアトルに行かせいただきました。『連獅子』は凄くわかりやすい歌舞伎を代表する演目です。歌・舞・伎という言葉にピッタリなのではないかなと思います。ロスに伺った時に思ったのは、日系の方が多くいらっしゃって、日本への憧れというか、日本への思いが強い方達が多く、客席で舞台を見ている皆様の目が凄く熱く感じられて、やっぱりやってよかったなとその時思いました。

 八代目芝翫、橋之助、福之助、歌之助の襲名披露興行は家族の襲名だったような気がします。ですから、今回、ハワイで『連獅子』を勤めさせていただけることは本当に嬉しく思っております。できれば、ホノルルの現地の多くの方に歌舞伎を見ていただいて、歌舞伎をもっと感じていただきたい。そういう役回りが出来たらいいなと思っております。
 『四人連獅子』をやれよと言ってくれたのは、亡くなった(十八代目中村)勘三郎の義兄でございます。「お前のところは四人だから賑やかでいいぞ」と大声で笑っていたのを今でも思い出します。こうしてハワイで『連獅子』をやるというのも何か兄貴がいるような気がします。

 日本人にとってハワイは憧れの場所でもあるし、大好きな場所でもあると思います。こうして日本の文化、私共の歌舞伎がどんどんハワイのすべての島に巡業で周れるようになると良いなと思います。


【中村橋之助】
 今回このような機会に家族揃って記念公演をさせていただけること、凄く嬉しく思っております。最初、父と兄弟三人と『連獅子』をさせていただいたのが、2016年11月の歌舞伎座での襲名でした。その後、博多座の襲名でもさせていただき、今度が三回目となります。三人で最初は息を合わせるだけだったのが、お互いに頑張りディスカッションがたくさんできた思い出深い作品です。それをこうしてハワイでさせていただけるという喜びと、父と兄弟揃って『四人連獅子』をさせていただける喜びもあります。
 去年の北京公演が初めての海外公演でした。その時、舞台を観てくださった方の声を聴く機会がございました。その内容が、日本で出ている時にされるような質問もありましたし、歌舞伎を普段から観てくださっているような質問もありました。何か日本に居るような・・・まるで灯台下暗しではないですが、そういう発見もありました。ハワイでの公演も、そこで経験したことが、日本に帰ってきてからの役者としての引き出しも増やして、自分の糧にできたら良いなと思います。


【中村福之助】
 今回、このような節目の年にハワイで歌舞伎公演をさせていただけること、私自身とても嬉しいことです。海外公演は小学校1年生の時に「平成中村座」で、(十八代目)勘三郎のおじや父とニューヨークに行かせいただきました。あの時の舞台からの景色は今でも覚えていますし、それぐらいインパクトのあった舞台でした。
 去年の北京公演でもそうでしたが、違う国でやらせていただくというのは、その国の方々にいろいろと感じていただけるようにしっかりとした舞台を勤めなければいけないと思いました。こうしてまた『四人連獅子』をハワイで出来るのは凄く楽しみなので、現地の方にたくさん喜んでいただけるように頑張りたいと思います。


【中村歌之助】
 今回、海外公演に初めて参加をさせていただきます。また、このような節目の年に親子四人揃って、襲名記念という形で特別公演をさせていただけるということはすごく嬉しく思います。『四人連獅子』をハワイで再現できるということがすごく嬉しいです。一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 海外のお客様の前でお芝居をするということが初めてです。自分にとって凄く未知の世界です。ハワイで上演する『連獅子』はとても有名な作品で、海外のお客様にも楽しんでいただけると思いますので、親子四人揃って一生懸命頑張りたいと思います。