中村吉右衛門さんご逝去
現代の歌舞伎界を代表する立役として長年活躍してきた、日本俳優協会専務理事・伝統歌舞伎保存会専務理事の歌舞伎俳優・中村吉右衛門(なかむら・きちえもん、本名:波野辰次郎=なみの・たつじろう)さんが、令和3年11月28日(日)午後6時43分、心不全のため東京都内の病院にてご逝去されました。享年77歳。ご葬儀・告別式は近親者で執り行われる予定です。
【略歴】
昭和19年5月22日生まれ。初代松本白鸚(八代目松本幸四郎)の次男。祖父の初代中村吉右衛門の養子となる。23年6月東京劇場『俎板長兵衛』の長松ほかで中村萬之助を名のり初舞台。41年10月帝国劇場『金閣寺』の此下東吉ほかで二代目中村吉右衛門を襲名。
歌舞伎界を代表する立役の一人として深い人物造形と巧みなせりふ術で魅了し、『熊谷陣屋』熊谷直実、『仮名手本忠臣蔵』大星由良之助、『菅原伝授手習鑑』松王丸、『梶原平三誉石切』梶原平三、『一條大蔵譚』一條大蔵長成、『盛綱陣屋』佐々木盛綱、『俊寛』俊寛僧都、『籠釣瓶花街酔醒』佐野次郎左衛門、『天衣粉上野初花』河内山宗俊、『極付幡随院長兵衛』幡随院長兵衛、『勧進帳』武蔵坊弁慶など数々の当り役をもつ。先祖にちなんだ松貫四の筆名で『再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)』などの脚本も手掛けた。最後の舞台は令和3年3月歌舞伎座『楼門五三桐』の石川五右衛門。
昭和59年度日本芸術院賞。平成14年度芸術祭賞演劇部門大賞。同年日本芸術院会員。23年重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)。29年文化功労者。ほか受賞多数。
謹んでご冥福をお祈りいたします。